とりあたま日記

20年やってた二次創作サイトの日記をブログにて継続。アニメや生もの感想など日々の雑記。

ナナミ in とんでもスキルで異世界放浪メシパロ

ナナミンinとんスキパロ小説をpixivにアップしました。

3万字越えて読むのに1時間かかる…(笑)。これで1話なんだぜ。

とんスキ知らなくても、わかるように書いています。じゅじゅも知らんでも多分読める…(笑)。

呪術師じゃない一般人ナナミンで、ムコーダさんは出てきません。

以下本文をちょこっと掲載。全文はpixivに載ってますので興味があれば(笑)。リンクから行けるよ。

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七海建人27歳独身。証券会社に勤める社畜
仕事帰りに勇者召喚に巻き込まれ、地球ではない剣と魔法のファンタジー世界に引きずり込まれてしまった――。


塾帰りと思われる高校生3人の数メートル後ろを歩いていた七海は、突如地面に現れた魔法陣の端っこに足を踏み入れていたために、この儀式に巻き込まれたと思われる。
3人喚び出すはずが4人現れたので、召還を行ったローブを纏った者たちも困惑顔だ。
シャレにならない状況に七海は呆然としながら、「とにかく鑑定を!」と騒ぐ者たちが、大きな鏡のような道具を操作するのを見ていた。
七海は日本人だが、母方の祖父がデンマーク人で、隔世遺伝により金髪碧眼という白人の血が多く出た見た目をしている。
しかも身長が184センチあり、仕事で少し痩せてしまっているがそれでも高校生たちより体格は良く、最初は勇者として期待した目で見られた。
が、ステータス鑑定で判明した固有スキルが、【ネットスーパー】という異世界人には聞いたこともないものだったので、更に周りの困惑が強くなった。
七海のスキルを笑った高校生たち(男子1人、女子2人)は、それぞれ聖剣術、聖槍術、聖魔法という何やらすごそうなスキルを有しており、魔法属性も火、水、土、風、光、雷、氷と多く、職業欄も【異世界からやって来た勇者】であった。
対して七海の職業欄は【巻き込まれた異世界人】というなんとも切ない表記。
更に、高校生たちの体力や魔力が700~800もあるのに、七海は100程度。これでもこの世界の平均よりは高いそうだが、彼らより明らかに劣っている。
ただでさえ連日の激務で七海はクマがひどく、疲れた顔をしているので、周りはすぐさま不健康な役立たずを見る目に変わった。

 ――今日は久しぶりに21時に会社を出られたのに……。

せっかく早く帰れるはずだったのに(充分労働基準法違反)、どこかもわからない世界に誘拐された上に、役立たず扱いされるとは。
理不尽な状況に加え、早々に扱いが悪くなったことで、七海は顔には出さないもののイライラしていた。
更に謁見したこの国の王とやらの言い分も胡散臭さこの上なく、魔王が攻めてくるだの、そのせいで民が苦しんでいるだの、この国を助けて欲しいだの、自分たちで何とかしようとする気は全くないようだ。
その上王族には悲壮感がなく、金をかけた装飾をこれでもかと纏っているし、謁見の間も贅沢品で溢れていた。
しまいには、呼びよせたくせに、こちらからは帰れないときた。
正直、「自分たちの世界のことは自分たちで何とかしろ!」と言い出さなかった自分の忍耐力を褒めたい。疲れ果てた頭でも、「これを言ったら殺される」くらいの判断力は残っていた。
しかし、勇者ですらない七海は、いずれ殺される可能性が高い。この国に人権云々を言っても無駄だろう。
七海はすぐにでもここから脱出するべきと腹を決めると、なんとか笑顔を作り、下手に出て、当面の生活費をもらって城を出た。

 

(中略)

 

「ナナミさん……、ぅ、うし……っ」
「牛?」
「うしろっ!」

「人間よ、俺にもそれを食わせろ」

突如聞こえた声に反射的に振り向くと、神々しいまでの毛並みをした、牛よりも大きな体躯の白狼が、ほんの数メートル先で七海を見下ろしていた。
今まで遭遇した狼の魔物とは格が違う。圧倒的な強者のオーラを纏っている。
冒険者たちは目を見開き、微動だにしない。
「おい、聞こえないのか。それを食わせろ」
七海は震えながら息を詰め、自分の皿をそっと差し出す。
木皿にあった肉を一口でばくんッと平らげた狼は、
「美味いが足りない。もっとよこせ」
「フェ、フェンリルだ……」
ヴェルナーが脂汗をかきながら震える声で呟いた。冒険者たちも皆歯をガチガチ鳴らすほど震えている。
 ――彼らが動けなくなるほど強い魔物なのか? もうすぐフェーネン王国だというのに、どうしたら……。
「ナ、ナナミさん、言うとおりにするんだ……」
人の言葉がわかるようだし、魔物に食べさせてやった方が危害は加えられないかもしれない。七海はフェンリルに声をかけた。
「あの、作らないとないので、す、少しお待ちいただけますか?」
「分かった。待ってやるから早く作れ」
七海は急いでレッドボアの生姜焼きを作り、木皿に大盛りにしてフェンリルに出した。
ガツガツとあっという間に皿を空にしたフェンリルは、もっともっとと要求し、七海は何度も往復して生姜焼きを出すことになった。
「ゲプッ。美味かった。それにしてもオマエ、これっぽっちの肉で俺を満足させるなんて、なかなかやるな」
 ――いや、アナタ7~8キロは食べてますけど。
あの量をこれっぽっちとは、普段どれだけ食べているのか。
「よし、オマエと契約してやるよ」
「は?」
 ――契約とは?
「聞こえなかったのか? 俺がオマエと従魔契約してやるって言ってんだよ」
従魔契約ということは、七海がこのフェンリルを使役するための契約ということだろうか。
 ――これを? 使役? 無理無理無理。
「いえ、あの、おこと」
「あ?」
「ですので、おことわ」
「あ"ぁ?」
「…………………………」
 ――この野郎、断らせないつもりか。
「まさかとは思うけど、オマエ、この最強フェンリルの俺との契約を断ろうなんて思ってねぇよなぁ?」
ちろりと横目でアイアン・ウィルの面々を見ると、いいから承諾しろ! という無言の圧を感じた。
これはもう受け入れるしか選択の余地がない。
「……………わかりました」
溜め息交じりに答えると、フェンリルは満足したように頷き、「こっちに来い」と七海を呼んだ。
近づいていくと、このフェンリルがきれいな青い目をしていることに気づく。
フェンリルが七海と額を合わせると、七海の全身が一瞬光り輝いた。
「これで契約完了。これからよろしくな」
「……はぁ。こちらこそよろしくお願いします。私は七海といいます」
「ん? オマエ鑑定のスキル持ちじゃん。もしかして召喚ゆう」
「シ――――ッ!」(小声)
七海は慌ててフェンリルの口を押さえつけ、その先を言わないよう食い止めた。
「モガッ、なんだよっ」
「その話は内密にお願いします!」(小声)
「あ? わかったよ」
ゴネられなくてほっとしていると、フェンリルにステータスを確認するよう促される。
七海が自分のステータスウィンドウを開くと、スキル欄の【鑑定】【アイテムボックス】の次に、【従魔(契約魔獣)フェンリル】と追記されていた。
「大丈夫みたいだな」
「え? 見えるんですか?」
「当然だろ。俺は風の女神の眷属でもあるからな。鑑定のスキルくらい持ってるんだよ」
フェンリルやら従魔契約やら女神やら、情報過多でもう「そうですか」しか言葉が出ない。
「まぁ、これで俺はオマエの契約魔獣となった訳だ。主たるオマエは俺の面倒を見る義務がある」
「え?」
「それじゃ、三度の食事、期待してるからな」
「…………………………」
ふんっと偉そうに告げるフェンリルに、言葉もない。食事が目当てで契約したのか?
「あ、そうだ。従魔契約の証にオマエ、俺に名前を付けろ」
「そんな急に言われましても……。シロとか?」
「馬鹿にしてんのか」
「え――――と、……五条悟……」
「ゴジョーサトルか。よし俺は今日からゴジョーサトルだ」